月刊 剣道日本 2019年4月号

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真摯に求めたい「剣道の価値」

剣道が日本文化たりうる「道」であるために、
そして、次世代にその伝統をつなげるために、
新生・剣道日本は、「剣道の価値」を真摯に求めていきます。

2019年4月号──No.507

特集は『日本刀を剣道に宿す』&『「捨て身」が生むもの』。
『ものづくりシリーズ第1弾 新たなる木刀づくりに挑む』と『再録 高校日本一の稽古
(PL学園 故川上岑志監督の指導)』を付録DVD映像として紹介する。

【特集1】日本刀を剣道に宿す
剣士なら知っておくべき日本刀の真実

九段、十段の剣道家、あるいはその世代の剣道家には、刀を身近にした方々が少なくなった。
改めて小誌の過去の記事を掘り起こしてみても、その傾向は顕著にうかがえる。
現在の高段者にも刀に造詣の深い方々もおられるが、その数は時代とともに減少傾向にあるような実感もある。
剣道が刀法に基づいていることはルールからしても明確である。であれば、刀を知ろうとすることに努めるのは当然のこと。
耳学問ではなく、実際に刀を扱えば、なお学びの成果は期待できよう。
日本刀の技術を、そしてその心を、しっかりと自身の剣道に宿すことができれば、
大家といわれたかつての剣道家のように、ものの見方や感性に大いなる変化が訪れる可能性もある。

【プロローグ】
全国屈指の日本刀研究者が語る刀の話

刀剣専門の美術館である「中鉢美術館」は宮城県大崎市にある。
館長を務めるのは、この美術館を個人で創建した中鉢(ちゅうばち)弘さん。日本刀の歴史や精神性に対する造詣の深さは国内屈指。中鉢さんは、「日本刀は切り合いの道具にあらず」と語る──。源流には平和思想があり、高い精神性を宿す日本刀。それを原点とする剣道が、何を目的をすべきかが、中鉢さんのお話しからおぼろげに見えてくる。

【刀と歩む日本体育大学剣道部 その1】
刀匠の思いを次世代の剣士につなぐ

日本体育大学武道学科では、一昨年から「刀法」の授業を設けている。それまでも授業に「居合」を取り入れていたが、「刀法」の授業は“真剣で巻き藁を切る”といった刀本来の機能を体感させるところまで発展している。全国に類を見ない取り組みであろう。もちろん剣道部員もこの授業を受けており、目下のところ、卒業生全員が刀で巻き藁を切るという課題をクリア。教員志望者も多く、実体験に根ざした「刀法に準じた剣道」が、今後、次代を担う剣士たちに広く浸透していく可能性も期待される。
本章では、剣道人がより刀に親しみを覚えられるよう、日本体育大学と関わりの深い刀匠にまつわる話を紹介する。

【刀と歩む日本体育大学剣道部 その2】
刀法に即した剣道を実感させる

日本体育大学で一昨年4月から始まった「刀法」の授業では、学生たちが刀に触れ、実際に「切る」ことも体験している。指導するのは近藤光氏。「刀と剣道の融合」をテーマにする近藤氏が、技術的な側面でどのような指導をされているのかを解説。
「剣道の握りは刀を持てば瞬時につかめる」「五指による刀の柔らい操作は竹刀剣道にも活きる」「二段打ちやひき技が実際に切れる動作かを検証」などなど、写真とともに詳しく解説!

【人物伝】木村篤太郎

全剣連初代会長が愛した日本刀
昭和27年に発足した全日本剣道連盟の初代会長を務めた木村篤太郎は、司法大臣、法務大臣、防衛庁長官などを務めた著名な政治家であるとともに、多くの日本刀を所蔵する愛刀家としても知られた。晩年まで自己流の居合の稽古も続けていたが、生前、国宝や重要文化財も含む所蔵刀の大部分を刀剣博物館に寄贈している。日本刀を愛する人物が、スポーツとして再出発せざるを得なかった剣道をどんな思いで率いていたのか。剣道の将来をどう見据えていたのか。戦後剣道界の基礎を固めた人物の事跡と、日本刀への思いを掘り起こす。

刀が伝える奥深い剣の道を知るために
「試し斬り」で剣道がわかる!

「刀は斬れるものだ。斬れるもので斬ることに意味はない。斬れなかったときこそ、剣道へのヒントが得られるのだ」
そう語るのは、ご存知、椎名市衛氏。今回は自身が主宰した「試し斬り講習会」での様子をレポートするとともに、試し斬りにまつわるさまざまな話を披露する。剣道をどのように学んでいけば良いのかが、刀に接することではっきり見えてくることが伝わってくる。

刀にまつわる言葉・拾遺ノート
こんな言葉も刀が由来だった!

刀は武器としてだけでなく、その直線と曲線のおりなす姿や地金・刃文の美しさや、外見のみならず内面の美しさをも投影する精神性を備えている。さらに、日本の職人技術の粋を集めた世界に誇れる手工芸品でもあったことから、刀という存在が、多くの人を巻き込み、魅了し、人々の生活に深く密着していたことは想像に難くない。鍛える、相槌を打つ、真剣勝負…etc。明治9年(1876年)に廃刀令が発布されてから140年以上経過した今もなお、刀は私たちの何気ない会話の中に生き、そして思考に大きな影響を与えている。そんな刀にまつわる言葉を集めてみた。

【特集2】「捨て身」が生むもの
捨て身の心境とは? その先に見えてくるものは?

思い切り打つ、勢いよく打つ──そうしむけるために「捨て身で打て」と教えられることがある。
雑念を振り払い、無心でことにあたれば、大事を成すことに一歩近づくことができる。
たとえ失敗に終わったとしても、全身全霊をかけたとなれば、後悔せずにすむかも知れない。とはいえ、捨て身になるには勇気がいる。
勇気だけでなく、無欲になる必要もあろうし、自信や一途さも大事かも知れない。
ある剣士が中倉清範士に「捨て身とは?」と問うたとき、中倉範士は、「満開の桜の下を闊歩するがごとく」と返したという。
「捨身(しゃしん)」は仏教用語。「捨て身」も受け止め方次第で哲学的にもとらえることができる。
剣道の教えのひとつ──「捨て身」に迫る。

【インタビュー】野口健(アルピニスト)
大自然の脅威に対峙する登山家の死生観

剣道がいかに真剣勝負であったとしても、実際には死ぬ心配はない。
しかし、真剣という観念をもって取り組むことで、その境地に迫ることは充分に可能だろう。それが現代剣道の特徴でもある。
しかし、もし本当にみずからを生と死の狭間に置いたならば……。
そこで考えてみる。大自然の脅威に対峙する登山家。彼らの心境こそ、まさにその体現者といえるのではないか。
アルピニストとして活躍する野口健氏に、その死生観についてまずお聞きすることで、捨て身についての序章とする。

【インタビュー】宮崎正裕
(教士八段・神奈川県警剣道首席師範)

【覚悟を決めるまで】
全日本選手権6度優勝の金字塔を持つ宮崎氏が、「捨て身」を実感した試合について語る。また、指導者としてどのように「捨て身」の技を指導するのかも聞いた。そのキーワードとなるのは“覚悟”と“決断”である。

【インタビュー】朝内賢光
(教士八段・駒澤大学剣道部師範)

【左手で溜め“気体剣”で打つ】
駒澤大学師範を務める朝内氏は、指導者にかかる際はとにかく「面」にかけてきた。胴に返されることが分かっていてもその面にかけた意味はなにか。そして「捨て身」の精神を知る「相抜け」の稽古法を紹介する。

【インタビュー】前田康喜
(大阪府警)

【自分の剣道を信じて】
全国警察大会では大阪府警の先鋒としてチームの4連覇に貢献、第17回第世界選手権大会でも切り込み隊長の前田康喜選手が果たした役割は大きい。超攻撃的な剣道で観る者を魅了する前田選手。その「捨て身」の剣道に迫る。

再録 高校日本一の稽古
PL学園・川上岑志、高千穂高校・吉本政美
一時代を築いた二人の名指導者を振り返る

一時代を築き上げた高校剣道部の二人の名監督。
いずれもカリスマというにふさわしい求心力を誇る名指導者だった。
ただ勝てばよしとはせず、勝ち方を大事にし、教え子たちの魂を命がけで強くすることを目指した点でも共通する。
それぞれの在りし日を偲ぶとともに、これからの高校剣道界の指針とすべく、両名の功績や人物像を振り返る。

PL学園(大阪)・川上岑志氏を偲ぶ

手抜きをせずに質的なツメをはかることがすべてだ
2019年1月2日、PL学園中学・高校を長きにわたり指導し続けてきた川上岑志氏が83歳の生涯を閉じた。剣道八段合格者、全日本選手権大会優勝者、世界選手権大会日本代表メンバーなどを多数輩出した川上氏。指導を受けた剣士たちの思い、そして、かつてのライバル惠土孝吉氏の対談企画を再録し、剣道界の巨星・川上氏を偲ぶ。
◎OBが語る我が師
山本雅彦(大阪府警)、石田利也(警察大学校)、鍋山隆弘(筑波大学監督)、髙鍋進(神奈川県警)
◎【剣道日本アーカイブ】対談 惠土孝吉(1987年11月号 特集「PLの剣道とはなにか」より)

高千穂高校(宮崎)・吉本政美氏を偲ぶ

高校剣道の名将が突き進んだ“炎”の生きざま
平成11年3月30日、高校剣道に人生のすべてを捧げたといっても過言ではない、 一人の名指導者が鬼籍の人となった。吉本政美教士八段(享年50歳)。膵臓癌に冒された、あまりにも早すぎる〝旅立ち〟だった。もし、在命であれば、現在70歳(本誌発売時2/25時点)。剣道界においてはまさに働き盛りである。果たせなかった“生”という希望の光。今、20年の時を経て甦る、名将の生きざまとは──。思わず涙してしまう吉本氏の名言集も掲載。

 

大会 第6回全日本選抜七段選手権大会
(横浜七段戦)

【高速の技炸裂 髙鍋(神奈川)が七段戦覇者に!】
全国各地から集いし16人の現代の剣豪たちが横浜の地で激闘を展開。
予選リーグ、決勝トーナメントを勝ち抜き、七段最強の座についたのは世界最速の剣士・髙鍋進(神奈川)だった。
熱戦の様子をあますことなくリポート!

新連載

突撃! となりの剣道人

小誌の購読者にインタビュー。
第1回目は岐阜にお住まいの白木滋里さんの元に突撃!
【剣道日本をどう読んでる?】早朝からの仕込みや出張も少なからずある多忙な滋里さんは、1日の終わりのお風呂の中や出張中の電車の中で剣道日本を読んでいる。また、付録のDVDをスキマ時間に観られるように、DVDプレーヤーで再生した映像をスマホで撮影して持ち歩いているそうだ。「気がついたら印をつけたり、(ページを)折ったりしています。『求める面』の岩立先生、高﨑先生の記事(2月号)。あと、3月号の本の特集も良かった。藤沢周さんの『武曲』はまだ読んでないので、読みたいと思いました」

K word〜ワンポイント剣道英会話〜
外国の剣士との触れ合いを楽しむために。

ニューヨーク在住の濱崎真美さんによるワンポイントレッスン。
第1回はWhat is KENDO?「剣道」を英語で超簡単に説明する方法
例えば竹刀や防具スーツケースを空港カウンターに預けるとき、“what is this for?”「これはいったい、なにに使うの?」と。そこで我々剣道家は迷わず答えます。“This is KENDO”「剣道です」しかし、そのあと間違いなく聞かれるのが、“What is KENDO !?”「剣道ってなに!?」です。“Kendo is…… KENDO!!!”「剣道はKENDOです!!」と、剣道家らしく堂々とジェスチャーを交えて答えれば武士道精神は伝わる!なんてことはなく、実際はうまく伝わらないのが現実です。

実践! 剣道プロジェクト
〜剣道の社会的価値を高めるために〜

京都外国語大学剣道部と共催。
中国IT企業の研修生たちに日本文化としての剣道を伝える
会社経営の傍ら「剣道プロジェクト」を創設した石塚一輝さん。動機は、「剣道の社会的な価値を高めたい!」の一心に尽きる。イベントの開催、国内外における剣道交流の場づくりなど、主催、協賛と形を問わず積極的に剣道人たちと関わりを持ってきた。実践するさまざまな取り組みを連載としてレポートする。

連載

八段の矜持
本名和彦(茨城)

不器用だったからこそ
「大祢先生から、足を継がず一拍子で打つ面を徹底して指導されました。高校に入って半年間はずっとその面打ちだけです。“相手の起こりをとらえる”スタイルはけっして崩さなかった」「立ち切り試合の経験は大きな転機となりました。『打った打たれたじゃない。勝負を超越したところに剣道の奥深さがある』ふらふらの状態になったときにそう感じたのです」

秘伝の技 乳井義博
(語る人=平川信夫教士八段)

「上段の位どりで正眼をとれ」
数々の伝説を残す乳井義博は、高野佐三郎から十段を受けた事実からも、その剣技のすごさがうかがい知れる。太く重い木刀を毎日欠かさず振り続けたという修業体験など、恩師のありし日の姿を平川信夫氏が語る

山田博徳の
ワンポイントクリニック

歩行のリズムで振りかぶる
左拳をあごの高さまで振り上げて打つ。竹刀をあごの高さから胸の高さに下ろすことで「切る」打ちが生まれる。リズムよく左拳をあごの高さに振り上げるには、「日常の歩行」がヒントとなった。

刀剣女子への一本道
GINZA SIX「銀座 蔦屋書店」の刀剣展示(前編)

剣道とは切っても切り離せない存在である刀剣。
本連載では、スポーツ記者でありながら、美術やアートにも憧れを抱く筆者が、あらゆる角度から刀剣の魅力に迫る。今回は、2017年にオープンしたGINZA SIX内にある「銀座 蔦屋書店」を訪問。
アートと日本文化の書籍を中心に展開する同店の一角に、日本刀が展示販売されている。その意図や思いについて、お話をうかがった。

剣道日本アーカイブ

【私のプライベートタイム】
『剣道日本』昭和55年(1980) 7月号より
佐藤貞雄範士九段(今月号の表紙の剣士)
【 小さん雑談 いやご無礼】
『剣道日本』昭和51年(1976) 4月号より
小島主範士九段(ホスト・柳家小さん)

 

付録DVDの内容

Part1(45分)
ものづくりシリーズ第1弾
新たなる木刀づくりに挑む

動理探究家の栢野(かやの)忠夫氏が、これまでにない形状の木刀を発案。胴の張った竹刀の形状をしており、柄の部分はスパイラル(螺旋)形状。「錬巧刀」という名づけたこの木刀は、竹刀剣道の動作において、その名のとおり“巧みさを錬磨する”ことを目的につくられている。映像の前半は、刀、木刀、竹刀、それぞれの道具の特性や、操作の原理について、そして「錬巧刀」の効用を栢野氏が語る。
後半は、「錬巧刀」の製作工程と、製品化に尽力した八ッ藤工業有限会社の工場長・八ツ藤慶一氏と発案者・栢野氏の対談を収録。ものづくりに挑む両者の情熱が伝わってくる。

Part2(47分)
再録 高校日本一の稽古
(PL学園 故川上岑志監督の指導)

2008年2月号付録DVD収録『高校日本一の稽古』より
1月2日に急逝された大阪・PL学園剣道部元監督である川上岑志氏。高校剣道界に輝かしい足跡を残したカリスマ的指導者は、どのように教え子たちと向き合ってきたのか。平成20年度にPL学園高校が埼玉インターハイの女子団体戦で優勝を収めた直後、小誌ではPL学園の稽古に密着し、その映像を付録DVDに収録した。川上氏の追悼企画として、御遺族の承諾を得て今回の再録となった。